Kitchen Garden



静岡県掛川市原里110
加茂家は桃山時代からの庄屋であり、天正十七年に当時浜松城主であった徳川家康よりの書状をはじめ、江戸時代を通ずる 古文書を数多く蔵し、一部は文部省資料館に保存され、近世史家の間に加茂家文章として知られています。

慶長九年の検地帳によれば、当地(遠州佐野郡桑地村)の過半を占める、極めて有力な庄屋であったことが分かります。 その頃は手作りの稲作を行っていましたが、江戸中期の頃より小作地が増え江戸末期の頃には六十四名の小作人から五百六十六表を 収納した記録があり当地としては当一級の地主となる一方、掛川藩から地方ご用達として公認の金融機関の役割を持つように なりました。

明治以降は当地の代表的な旧家として知られてきましたが、戦後の農地改革で約五十町歩の耕地を失いましたが、昭和三十二年 より始めました 加茂花菖蒲園により再び脚光を浴び、シーズンには約十万人前後の人々が訪れるようになりました。

長屋門、厠、母屋の廊下などは江戸時代中期の安永二年(1773)に建てられ二百三十一年も経ています。端午の節句には、シヨウブを 茸いて、伝統の行事を伝えています。花菖蒲園は厄除けとして、この門前に作られたものから発展して、現在のようになりました。